- 看護師として3年働いたけど、夜勤のない仕事に転職できるの?
- もうすぐプリセプター業務が始めるけど、経験してから転職すべき?
- 3年目と4年目はどっちが転職にベストな時期なの?
ベストな転職時期が分からず、転職のタイミングを逃してしまう看護師はかなり多いです。私が2000人以上の医療業界の方との面接を通して感じたことは、転職時期はその後のキャリアにも大きな影響を及ぼすことです。
当記事では3年目看護師に向けて、4年目まで転職を待ったほうが良い理由と転職する場合のポイントを解説しています。この記事を読むことで、あなたに最適な転職時期がいつなのかが分かります。
目次
【結論】丸3年働いてから、4年目での転職がベスト!
結論から述べると、3年目での転職は可能ですが、4年目まで待つとさらに大きなメリットがあります。
しかし、3年以内での転職を経験する看護師の割合は高くないです。
厚生労働省のデータでは、医療・福祉の分野において大学卒の39%、短大卒の35.7%が3年以内に離職しています。この中で、3年目で離職した人は、大卒で11.7%、短大卒で12.7%となっています。
3年目での転職が難しいというわけではありませんが、丸3年働いて4年目で転職をしたほうが、メリットはかなり多いです。転職を考えている方は、3年目と4年目の差を理解した上で、判断をしていただければと思います。
【決定的な差】3年目での転職は少し待ってほしい理由
前提として、4年目まで転職を待つメリットがあるかどうかは働いている場所に左右されます。具体的には、研修制度の内容や期間、退職金制度といったものになります。
3年目転職と4年目転職の差は以下のとおりです。
- 新人研修が完了していない
- リーダー業務やプリセプターの経験がない
- 金銭的な負担がある
- 人間関係の再構築
新人教育が完了していない
新人研修は多くの場合、3年ですべての過程が終わるようになっており、3年目の途中で転職してしまうと教育を受けきらぬまま辞めてしまうことになります。
新人教育の過程を修了しているかは転職するときの看護技術の証明にもなる点、転職先で十分な教育を受けられない可能性がある点を踏まえても、最後まで受けてからの転職がおすすめです。
キャリア採用だと経験不足とされることもあり、転職に不利に働くこともあります。
プリセプター業務、リーダーの経験がない
看護師が転職する上で、新人教育やリーダーの経験の有無はとても大きな意味を持ちます。採用担当者からの評価が上がる他、年収も高くなる傾向があります。新人教育責任者(プリセプター)は月2.5万円の役職手当がつくため、年間で30万円の差が生まれます。
多くの病院では3〜4年目でプリセプター業務が始まるため、3年目に転職をしてしまうとプリセプターとしての経験を積めないままになってしまいます。
プリセプター業務・リーダーとしての経験があると、看護業務の幅が広がるだけでなく、コミュニケーション能力の向上やこれまで学んできた看護技術の振り返りにもなるため、必ず経験しておきましょう。
金銭的な負担がある
転職する際の金銭的負担とは、「お礼奉公」と「退職金」のことです。
新人看護師が奨学金免除の制度を利用して、病院に入職した場合には「お礼奉公」が発生します。お礼奉公とは、奨学金を免除にするために一定期間働き続ける必要があるというものです。一般的に2-4年の期間が設定されており、お礼奉公の期間満了前に転職をするには返金をする必要があります。
看護師が「退職金」を受け取るためには、勤め先が提示している期間働き続けなければなりません。多くの病院が丸2-3年以上勤続することで退職金を支払っているため、3年目だと退職金を受け取れない場合があります。
人間関係の再構築
これは勤続年数に関わらずですが、転職をすれば人間関係を1から築く必要があります。
人間関係が原因で転職をする人は良いかもしれませんが、キャリアアップやスキルアップを目的に転職を考えている方は、現在の職場における人間関係の良さを過小評価している場合があります。
転職先で人間関係に悩む可能性もあるので、今の職場にいるメリットもよく理解しておきましょう。
【3つの強み】3年目の転職は決して不利ではない
ここまで3年目での転職は待ったほうがいいという話をしてきましたが、
キャリアアップや給料アップなどのメリットよりも転職の意志が強いのであれば、転職をしてもいいと思います。
以下のような場合は、転職することをおすすめします。
- 人間関係に悩んでいて、働き続けるのが難しい場合
- 勤め先が労働基準法に反している(または、ブラックな勤務体系)の場合
- 興味のある分野が現職の業務と大きく違う場合
- 結婚や出産などのライフイベントがある場合
このような理由で転職を希望される方に、3年目看護師の強みを3つ紹介します。
看護師として自立して業務ができる
3年目の看護師は、リーダー・プリセプターの経験はないにせよ、自立して看護業務を行うことができるため、転職する上では即戦力とされます。高度な技術を必要とする場所でなければ、需要も高く転職は可能になります。
体力があり、柔軟性が高い
3年目看護師は若いため体力的にも余裕があり、忙しい業務や夜勤もこなせます。
また体調を崩すことも少なく、病院側も非常に重宝する人材といえます。
ベテランの看護師はそれまで培った知識ややり方に固執しがちですが、3年目であればそういう心配はありません。どんな環境でも比較的容易に馴染むことができる点も魅力的です。
専門性の高い分野に転職できる
3年目は、看護師として専門性を高めようと考えたり、興味のある分野が明確になる時期だと思います。そういう方にとっては、転職にベストな時期といえるでしょう。
丸2年働いていれば基本的な看護技術はついているため、専門性の高い分野でも一般的な看護業務を行いながら専門知識を学んでいけます。年齢が若い人のほうが、知識の吸収率は高いので未経験の領域でも採用してもらえる可能性があります。
しかし、若いほうがいいといってもプリセプター経験のある5年目と経験のない3年目では、前者のほうが採用はされやすいです。プリセプターができると、募集している求人数も多くなるのでよく考えてから転職するようにしましょう。
3年目が転職を成功させるコツ
転職で実現したいことに優先順位をつける
まず1つ目が転職で実現したいことに優先順位をつけることです。
具体的には、「譲れない条件」と「諦めても良い条件」を持っておくということです。
みなさんの転職理由は、「譲れない条件」に入ってくるでしょう。
それ以外にも譲れない条件はあると思いますので、できるだけ細かく書き出して下さい。
譲れない条件の具体例:
- 年収〇〇万以上
- 月の夜勤回数〇回以下(2交替制)
次に、「諦めてもよいが、可能ならば実現したい条件」を挙げていきます。
- 呼吸器科
- 通勤時間◯分以下
ここまで来たら、できるだけ条件を満たすことのできる求人を探します。
「年収〇〇万以上で2交替制の呼吸器科。夜勤回数◯回以下、通勤時間◯分以下」の求人があれば、希望に沿った転職先と言えるでしょう。しかし、すべての条件をクリアする求人がない場合もあるので、「諦めてもよい条件」を削りながら、転職先を探していって下さい。
あなたの希望の条件によっては、「譲れない条件」を見直す必要が出てくることもあります。できるだけ実現可能な度合いで条件を設定することが大事です。
好条件の求人は転職サイトで探す
どんなに具体的な転職条件を考えたとしても、それに合った求人がなければ意味がありません。本当に好条件の求人の多くは、転職エージェントが持っており、一般には公開されていないことが多いです。
好条件・高待遇の求人は転職サイトに登録した看護師にのみ公開されているため、転職サイトを利用することを強くおすすめしています。ただし、紹介会社によっては看護師の状況に関わらず、転職を強く進めてくる場合もあるので、口コミや看護師の満足度等もよく調べて、登録するようにしましょう。
余談ですが、転職で悩んでいる時に職場の他の看護師に相談をするのはやめておいたほうが良いです。辞めようとしていることが広まると働きづらくなりますし、仮に転職活動をやめて働き続けることを選択したときに気まずくなります。転職活動の中で悩むこともあると思いますが、その際は転職エージェントに相談すると良いと思います。
気になった転職先の情報を収集する
転職サイトで気になる求人があったら、その職場で働いている看護師の雰囲気や患者の多さなどは徹底的に調べておくようにしましょう。どんなに高待遇の求人であっても、人間関係が悪かったり、ブラックな勤務形態である場合があるので注意が必要です。
気になる転職先の情報を探るための方法は大きく2つあります。
- 転職エージェントに求人の詳しい内容を聞く
- 候補の転職先に職場見学に行く
特におすすめなのは、実際に病院を訪れてみるということです。
エージェントに聞くよりも、自分の目で確かめたほうが、どういった看護師が働いているのか、どのくらい忙しいか分かるため、ぜひ職場見学行ってみて下さい。
面接対策は欠かさず行う
面接で気をつけたほうがいい点は以下のとおりです。
- 受け答えは簡潔に話す
- 身だしなみは清潔感を意識する
- 転職理由は前向きなものを
- 前の職場の悪口は言わない
「看護師は売り手市場だし、3年目で経験もあるから面接の対策なんてしなくても受かる」と思うかもしれませんが、採用担当者はあなたが思うよりも、人間性や看護師としての姿勢を見ています。自分の理想の転職先に採用してもらうためにも、面接対策は必ず行って下さい。
看護師の面接に関して、詳しく説明している記事も多くあるので、ぜひ見てみて下さい。
また、転職サイトには、履歴書の添削や面接対策を行っているものもあるので活用してみると良いでしょう。
3年目の看護師にオススメの転職先
前提として、スキルアップ・年収アップを目指すならば4年目以降に転職する方が良いと考えています。
ここでは、人間関係などネガティブな理由で転職をされる方に対しておすすめの職場を紹介します。
スキルアップしたい
今の職場で基礎的な看護技術が身についていて、よりスキルアップしたい方には、
- 急性期病院
- 大学病院
- 総合病院
がおすすめです。
「急性期病院」は、命に関わる重症疾患の患者や手術を必要とする患者が多く、高い判断力とスピード感が求められます。かなりハードな現場ですが、間違いなく看護技術は上がりますし、自身にも繋がります。
「大学病院」は、最先端の医療知識と高い看護技術を学ぶことができ、学習意欲の高い看護師にはピッタリの環境と言えます。教育制度も整っており、幅広い分野で知見を広めることができます。
「総合病院」は、なんといっても高い教育水準と看護師の数が魅力です。基礎から看護技術を学び直したい方にはぴったりの環境でしょう。
年収アップしたい
年収を上げたい方におすすめなのが、
- 夜勤専従
- 産業看護師
- 美容クリニック
「夜勤専従」は、夜勤勤務のみを行う看護師で高い給与が魅力です。勤務日数も少なくなるため、夜勤が苦ではなく休日がしっかり欲しい方には最適な働き方だといえます。
「産業看護師」は、一般企業で、主に社員の健康管理を行います。基本的に企業に1人であること、高度な看護のスキルは必要としないことから3年目の看護師でも採用される可能性はあります。産業看護師を雇っているのが、大企業が多いため給与は比較的高いです。
「美容クリニック」は、若い看護師ほど採用されやすく、インセンティブで高い年収を実現できる可能性があります。コミュニケーションが得意な方は、年収1000万も夢じゃありません。
ワークライフバランスを実現したい
夜勤なし・残業が少ない仕事は以下の通りです。
- 個人クリニック
- 病院以外の仕事
「個人クリニック」は、診察時間が決まっている他、夜勤がないので非常に働きやすいです。残業も少ないので魅力的ですが、ベテラン看護師の方が、採用されやすい場合もあります。
「病院以外の仕事」は、夜勤がない仕事がほとんどです。残業時間も少ないため、QOLを向上させたい方には最適な転職先をいえるでしょう。数が多いので、細かい仕事の説明は割愛させていただきますが、詳しく説明している記事のリンクを貼っておきます。
【病院以外で看護師が働く場所はどこなのか?待遇や年収まで詳しくまとめてみた!】
3年目看護師におすすめの転職サイト3選
これから挙げる転職サイトはどれも、求人数も多く、利用者満足度も高いサイトです。
じゃあこの中の、どのサイトが一番いいんだと言いたい方もいるかも知れませんが、
転職サイトは複数登録して比較することをおすすめしています。
複数の転職サイトを登録する理由は、
- サイトによって、持っている求人が違い選択肢を増やせるから
- 複数人のアドバイザーの中で、自分が話しやすい人を選ぶことができるから
といった理由があります。
複数の転職サイトに登録し、比較しながら使ってみて下さい。
転職サイト | 特徴 |
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まとめ「丸3年働けば、市場価値はもっと上がる」
当記事では、3年目での転職が決して不利ではないこと、しかし4年目まで働き続けたほうが転職市場での価値が上がることを解説しました。メディキャリねこでは、3年目に働き続けるのが難しい場合以外は、丸3年働いて、プリセプターやリーダー業務を経験することをおすすめします。
しかし、すでにプリセプターの業務経験がある方は、3年目の今がベストな転職時期です。
人それぞれベストな転職時期は違うので、自分の経験と理想のキャリアを照らし合わせて、転職を成功させていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
音楽専門学校を卒業後、外資系メーカーの日本法人にて営業に従事。その後、関西支社の立ち上げや営業部長を経て、30歳から人材紹介を行う。医療・IT業界を中心に、これまでに紹介件数400件以上、面談件数2,000人以上の実績を積む。特に医療分野では、日本全国の医療施設を周り、各地の地域性を学びIターンやUターン転職支援も行う。一人一人のキャリアプランも見据えたコンサルをモットーに、「提案する」キャリア支援を心がけている。