- 看護業務が忙しすぎて、勉強の時間がつくれない
- 日勤と夜勤の繰り返し、不規則な生活で勉強が継続できない
以上のような理由で、夜更しして勉強する看護師や資格試験に失敗する看護師はかなり多いです。当記事では、800人以上の看護師のキャリア相談を受けてきた私が、看護師が忙しい中で継続して勉強する方法を紹介します。この記事を読むことで、忙しい方でも1時間の勉強時間が確保できます。
目次
【結論】時間がないならスキマ時間を活用しよう
看護師の方で、忙しくて勉強する時間がないという方は多いと思います。
ただし、これは「忙しくて勉強するためのまとまった時間が取れない」のではないでしょうか?
「そんな事言われても、絶対に時間なんてないんだ!」と思われる方は以下の方法を試してみて下さい。
まず、一日に行ったことをできるだけ細かく書き出していきます。ここで重要なことは「やったこと・時間」を必ず記すことです。忘れてしまうことも多いと思うので、1時間毎にアラームをセットするなど工夫してみると良いでしょう。これを一週間ほど行って、自分が一週間で何に何時間を使っているかと算出していきます。
一週間自分が何に時間を使っているか把握できたら、無駄な時間がないかを確認していきます。スマホをいじっている時間、テレビを見ている時間、思っていたより多くの時間を使っていることが多いです。忙しくて勉強ができないと思う方は、今自分が何に時間を使っているか把握することから始めてみて下さい。
【時間術】忙しい看護師が勉強時間を確保する方法
ここでは、具体的に勉強時間を作り出す方法を4つご紹介します。
すべてを取り入れなくても、自分ができそうだと思うものを実践してみて下さい。
- 無駄な時間は徹底的に削る
- ながら勉強を取り入れる
- ノートは取らない
- 寝る前は参考書を読む
無駄な時間は徹底的に削る
先程、勉強する事前準備として24時間を何に使っているか調べたと思います。
自分が削れそうな無駄時間があれば容赦なく削っていきましょう。ここで意識することは「最小限の娯楽の時間は確保する」「無理のない範囲で削る」の2点です。
まず、ここでいう無駄な時間とは必要以上の娯楽の時間、SNSの時間等のことです。忙しい仕事の合間の娯楽は大事ですから、過度に減らすことはしないで下さい。ただ、時間の使いすぎは禁物です。
次に、健康や仕事に影響しない、無理のない範囲内で行って下さい。時間を作れというと睡眠時間や食事の時間まで削ろうとする人がいますが、これは返って逆効果です。体調を崩したら元も子もないですし、仕事や勉強の集中力も下がります。
ながら勉強を取り入れる
忙すぎて削れる時間もないのであれば、家事や通勤などと同時並行で行える勉強方法を取り入れましょう。特におすすめなのは「聞く」勉強法です。参考書や書籍を読み上げてくれる「Audible」というアプリを活用したり、自分で学習した内容を録音して聞くことで、ながら勉強を行うことができます。自作で音源を作るのは、恥ずかしいかもしれませんが自分しか聞かないので頑張ってみて下さい。音声を作る時点で説明能力もつく上に、記憶にも残りやすくなるのでおすすめです。
ノートは取らない
前提として、ノートでの勉強に慣れている・素早くノートを取れるという方は遠慮なく使って下さい。
ここでは、勉強するから苦手だけどノートを書こうと思っている方に向けて提案させていただきます。
勉強する上で、ノートを取らないメリットは4つあります。
1つ目は、「単純に時間がかかる」ということです。
ノートを作り始めると、見やすく作ろうとしてイラストやマーカーを使う方がいます。ノートの見やすさにこだわってしまうと、時間がかかって勉強が進みません。ノートを見返すことは意外と少ないので、手書きのほうが覚えられるという方はメモなどで、手早く済ますことをおすすめします。
2つ目に「ノートを頑張ってしまうと勉強のハードルが上がる」ことです。
初めにきれいなノートを作ると、二回目以降も綺麗に作らなくてはと感じ、勉強のハードルが上がります。ノートの為に勉強ができなくなるのは本末転倒なので、ノートにまとめるのが楽しいと感じる人以外はやめたほうがいいです。
3つ目に「ノートに頼って覚えない」ことが挙げられます。
「分からなくなったら、ノートを見よう」と頼ってしまい、記憶できなくなる可能性があります。また、ノートにまとめることが目的となり、学習内容が頭に入らない人も多くいます。ノートを取ることが、自分の学びにとってプラスかどうか今一度考えてみて下さい。
朝と夜をうまく活用する
日中は仕事をしているので、朝と夜に勉強時間が絞られるのは当たり前かもしれません。
ただ、脳の働きからしても朝と夜に勉強することはとても良いことなんです。
当記事でおすすめしているのは、
- 「朝」:思考力を必要とする勉強
- 「夜」:暗記などの記憶を必要とする勉強
朝は、脳が活性化して、一日で最も頭が働く時間なので、思考力を必要とする勉強を行いましょう。具体的に、資格勉強であれば問題集を解くこと、看護業務の勉強であれば受け持っている患者さんの状態をまとめて処置方法を考えることなどです。
夜は、身体も頭も疲れているので、脳に負担をかけない暗記などをすると良いです。具体的には、参考書や疾病に関する書籍などを読むことになります。人間の脳は、寝ている間に記憶を整理するので、寝る前に暗記学習をすると定着率も高いです。スマホやパソコンのブルーライトを避けることで、睡眠効率のアップも見込めます。
【勉強目的別】具体的な勉強方法の手順
ここからは、看護師の勉強方法を「看護技術」と「資格」に分けて紹介していきます。
ここで紹介した方法をベースに、自分に最適な方法にカスタマイズしていって下さい。
看護技術編(4STEP)
- 週初めに勉強時間を決める
- 受け持ち患者のアセスメントを作成する
- 勤務の中で学んだこと、分からなかったことを復習する
- 週末に勉強時間・内容を振り返る
週初めに勉強時間を決める
初めに、月曜日の朝に一週間分の勉強時間を決めます。
一週間分である理由は、すべての日の予定が明確、かつ予定変更の確率が低いことです。一日一日の予定を確認しながら、Googleカレンダーなどのスケジュールアプリに「勉強」の予定を追加します。スケジュールに加えることで、怠け防止・忘れ防止になります。ここで重要なのは、毎日勉強する必要はないということです。勤務日で時間が取れないのであれば、休日にまとめて勉強する日を作るのも手です。自分が可能だと思う現実的な時間を設定して下さい。
受け持ち患者のアセスメントを作成する
勤務の前までに、患者の疾患や症状からアセスメントを作成します。
受け持ち患者が複数人いる場合には、3人ほどに絞ってキャパシティを超えないように調節しましょう。患者さんの疾患・薬・治療法について理解を深めた上で、どのような看護処置を行うのかまで想定しておくと良いです。先輩に言われて行動する前に自分ならどうするか考えておくと、より深い学びに繋がりますし、不明点や勉強不足な点が明確になります。時間があれば、予習はぜひ行っておいて下さい。
勤務の中で学んだこと、分からなかったことを復習する
実際の勤務が終わったら、予習で作ったアセスメントは適切だったか、自身の想定した処置に間違いはなかったかを評価していきます。その過程で、わからないことや勉強不足な箇所があったら復習します。重要なのは、次に同じ状況になったら間違いない処置を行えるようにしておくことです。自分の経験と知識を結びつけて、実務で使えるレベルまで高めておきましょう。
週末に勉強時間・内容を振り返る
週末になったら、一週間の振り返りを行います。
目標の勉強時間は達成したのか、できなかったなら改善点はどこかを評価することが重要です。勉強する時間が確保できなかったのなら前述した「時間の作り方」を、時間が合ってできなかったのなら後述する「勉強を継続するコツ」を参考にしていただければと思います。目標の評価と同時に、一週間で行った勉強内容を軽く振り返っておくと良いです。人間は忘れる生き物なので、こまめに復習を行なって下さい。
資格編(5STEP)
看護師がキャリアアップするための資格は次の記事で紹介します。
【全62個】看護師のプラスになる資格一覧|メジャーな資格から診療科別のおすすめまで解説!
- ゴールから勉強時間を逆算する
- 参考書・問題集を買う
- 覚える内容に優先順位をつける
- 参考書を一通り読む
- 問題集を繰り返し解く
ゴールから勉強時間を逆算する
資格勉強を始める時に、必ずやってほしいことが資格試験に申し込んでおくことです。
試験の申し込み期間が先ならばしょうがないですが、人間は期限がないとだらだらしてしまいます。結果的に勉強もせず、資格も取得できないなんてことにならないように、可能な限り試験日は決めておくようにしましょう。
試験日が決まったら、どのくらい勉強するかを決めます。
資格それぞれで合格者の平均勉強時間が公開されているので、参考にしましょう。勉強に自信がある方は平均の時間、あまり得意でない方は少し長めに設定しておくと良いです。次に、合格者の平均時間と試験日までの期間から逆算して、一週間の勉強時間を算出します。ここで一日の勉強時間にしない理由は、勉強できない日があった時に週の中で補うことが可能だからです。
参考書・問題集を買う
資格勉強には参考書と問題集を活用し、ノートは前述の理由でおすすめしていません。
勉強教材は、自分のお金を使って購入することをおすすめしています。なぜなら、人間はお金を払うとやらなければいけないという義務感を感じるからです。同様の理由で、有料のセミナーなどに参加するのも良いと思います。
勉強内容に優先順位をつける
試験勉強は、試験範囲の全ての問題がでるわけではないです。効率的に勉強するなら、試験で出る可能性の高い重要な単元を先に学習するようにしましょう。過去の試験問題を探るのもいいですし、良い参考書や問題集には重要度が示されているため、そういった書籍を選ぶと良いです。頻出問題は、振り返りの回数を多くするなどして、絶対に落とさないようにして下さい。
参考書はじっくり一通り読む
参考書は一回だけじっくり読めば十分です。
なぜなら資格勉強は全てを暗記する必要はなく、問題集を繰り返し解くことのほうが優先度が高いからです。忙しい場合には、一回だけ読んで、その後は不正解だった問題の復習や寝る前の読書に活用しましょう。ながら勉強をするのもおすすめなので、音声読書アプリ「Audible」などで探してみると良いかもしれません。
問題集を繰り返し解く
資格試験の勉強で最も重要といえるのが、問題集を解くことです。
問題集は優先順位の高いものからはじめて、最低でも3通りは解いておきたいです。問題集を効率的に終わらせるために、一回正解して解ける自信のあるものは飛ばしましょう。資格によりますが、やはり過去問もやっておくほうがいいです。過去10年分を目安に、使える時間の中で取り組んでみて下さい。
【how to】勉強を継続するためのポイント
この記事を読んでいただいている方の中にも、継続が苦手で三日坊主になりがちな人はいるんじゃないでしょうか。そんな方々のために、勉強をサボらずに続けるコツをご紹介します。
- 最初から完璧に覚えようとしなくていい
- はじめは少ない勉強時間で良い
- たまには場所を変えて気分転換
最初から完璧に覚えようとしなくていい
正直にいうと、最初から完璧に覚えようとするのは逆効果になります。
なぜなら、人間は覚えたと思ってもすぐに忘れてしまうからです。最初は7割程度の理解を目指し、2・3回めに100%の理解を目指すほうが記憶の定着には効果があります。心理学者のエビングハウスが実施した忘却曲線の実験では、1時間後には56%、6日後には75%忘れるという結果がでています。勉強する上では、一回で覚えることよりも、複数回に分け思い出しながら学習することを意識しましょう。
はじめは少ない勉強時間で良い
最初から高い勉強時間を設定すると挫折するリスクが大きく高まります。
早起きする場合にも、いきなり早い時間に起きるより15分・30分と少しずつ早くしていった方が成功率が高いです。勉強時間も同じで、短い時間から少しずつでいいので時間を伸ばしていきましょう。とりあえず一日5分でも良いので、勉強を継続してみて下さい。
たまには場所を変えて気分転換
もし、家での勉強だと怠けてしまうならば、勉強する場所を変えてみて下さい。
おすすめなのは、自分と同じように勉強をしている人がいる場所です。例えば、図書館やカフェになります。環境を変えることで、気分を切り替えて集中することができます。
まとめ「まずはスキマ時間の10分を勉強に充てよう」
当記事では仕事に追われる看護師のみなさんに、忙しい中で時間を作る方法と勉強を継続する方法、具体的な手順をお伝えしました。
まずは、通勤中の電車内・家を出るまでの少しの時間、どのスキマ時間でもいいので、10分間勉強してみて下さい。その10分間が一週間で70分、一ヶ月間で310分、一年間で3650時間になります。
たかが10分、それど10分。
ぜひ、スキマ時間を見つける能力と継続する能力を鍛えていって下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
音楽専門学校を卒業後、外資系メーカーの日本法人にて営業に従事。その後、関西支社の立ち上げや営業部長を経て、30歳から人材紹介を行う。医療・IT業界を中心に、これまでに紹介件数400件以上、面談件数2,000人以上の実績を積む。特に医療分野では、日本全国の医療施設を周り、各地の地域性を学びIターンやUターン転職支援も行う。一人一人のキャリアプランも見据えたコンサルをモットーに、「提案する」キャリア支援を心がけている。