子どもが好きな看護師なら一度は考える小児科 。
しかし、上記のような理由で小児科を避けている看護師の方は多いのではないしょうか?

当記事では、小児科看護師の仕事内容やメリデメはもちろんのこと、
「保護者トラブル」「小児科以外の仕事」まで気になるポイントを徹底解説します。

この記事を読むことで、「今の職場で働き続ける」「小児科への転職を希望する」「子どもと関われる小児科以外の仕事を希望する」という選択肢から、最適解が見つかります。

小児科看護師の業務内容

小児科は、新生児から15歳までの患者を対象に診察を行っており、外科処置以外の全ての疾患に対応しています。喘息などの慢性的な疾患の場合は、成人を超えても通う患者もおり、幅広い年代に医療を提供する診療科です。基本的に成人以上を対象とする他の診療科とは、必要とされる技術も大きく異なってきます。

小児科看護師の主な仕事

小児科看護師には、一般の看護業務の他に小児科特有の業務として、「子どものケア」「家族のケア」「イベントの実施」があります。それぞれ解説していきます。

子どものケア

小児科では、子どもの患者を相手にしているため、治療や手術の説明を子どもにも分かりやすく伝える必要があります。そこで行うのがプレパレーション。理解を用意にするために、簡単な言葉に言い換えたり、人形や絵本などを使うなどして処置の説明をしていきます。

この時に重要なのは、理解をしてもらうだけでなく、子どもの心の準備を助けることです。処置前に「頑張ろう!」と元気づけたり、処置後に「頑張ったね!」と褒めてあげることで、治療に対する頑張りを引き出して挙げましょう。

家族のケア

大事な子どもや兄弟が治療を受けるにあたって、ご家族はかなりの不安と悩みを抱えています。家族の不安は患者をも不安にさせてしまうので、丁寧な説明を心がけ、悩みや不安に寄り添うことで、安心感を持ってもらえるようにしましょう。

イベントの実施

多くの病院の小児科では、クリスマスやハロウィンなどの季節の行事を行う事が多いです。入院していると、子ども達が自宅でのクリスマス会や友達とハロウィンパーティなどに参加するのは難しくなります。そのため、少しでも楽しんでもらおうと病院でイベントを開催するのです。

ただ子どもが楽しめるだけでなく、病棟内で友達を増やしたり、看護師・医師とコミュニケーションをとる機会になります。看護師にとっても子ども達の楽しむ姿を見られるのは嬉しいものです。

小児科看護師の一日(例)

時間業務内容
8:30〜出勤、夜勤看護師からの申し送り
8:40〜ミニカンファレンス
9:00〜点滴の準備
9:30〜回診(検温、点滴、バイタル測定)
10:30〜プレイの時間、お風呂
11:30〜昼食配膳、食事介助
12:00〜交代で休憩
13:30〜検温、処置介助、記録
14:30〜カンファレンス
15:00〜おやつ介助、プレパテーション
16;30〜夜勤看護師への申し送り
17:30退勤

【病棟勤務と外来勤務】小児科看護師の働き方

小児科看護師は大きく、病棟勤務と外来勤務に分けられます。
病棟と外来での働き方の違いを簡単に表にまとめてみました。

項目病棟勤務外来勤務
患者との関わり深く長く浅く広く
平均給与約480万約400万
夜勤ありなし
休日主に4週8休主に完全週休2日
専門性高い低い

給与を重視したいなら病棟勤務

表を見ても分かりますが、夜勤手当が付くため病棟勤務の方が年収は高いです。月4回の夜勤で、年収が50万円ほど変わるので、年収を上げたいという方は病棟勤務を選ぶと良いでしょう。病棟勤務は、入院が必要な症状が重い患者を看護するため、小児医療の専門的な知識をつけられるといったメリットもあります。さらに高い年収を求めるならば、小児専門看護師の資格でキャリアアップするのがおすすめです。

休日を充実させたいなら外来勤務

外来勤務は、病棟勤務に比べて給与は下がりますが、日勤のみで固定休といった点がメリットになります。外来は診療日が決まっており、土日祝日休みといったところも多いです。そのため、プライベートの予定を組みやすい他、身体的な負担も少ないのが特徴になります。また、病棟に比べ症状が軽い場合が多く、子どもの苦しむ姿を見たくないという方にはおすすめできます。実際に、病棟勤務が辛く、外来に移る看護師の方は多いです。

関連記事:「【病棟との違い】外来看護師の仕事内容とは? 給与や休日、求められるスキルまで徹底解説

小児科看護師として働くメリット

結論から述べると、小児科は子どもが好きな方にはピッタリの職場になります。
看護師が小児科で働くメリットは以下の3つです。

小児医療の専門性を高められる

小児科は、小さい子供から成人まで幅広い年齢の患者を診療する上、外科処置以外の全ての疾患に対応しなければなりません。そのため、覚える知識や技術も多く大変ですが、その分スキルアップが可能です。小児科は専門性が高いので、経験があれば小児医療の現場ではかなり重宝されます。

病棟の雰囲気が明るい

子どもの存在からか、小児科病棟の雰囲気は明るいことが多いです。子どもと遊ぶプレイの時間やクリスマスなどのイベントで子どもが楽しんでいる様子を見られるのも、小児科ならでは。看護業務が辛くても、子どもの可愛さに助けられて働き続けられるという方も多いです。

子どもが元気になる・成長する姿を見られる

小児科看護師が特にやりがいを感じるのが、子どもが回復してくれたときです。子どもは、回復力が高く、治療の効果も見ていて分かりやすいので、仕事にモチベーション高く取り組むことができます。

また子どもの成長は早いため、入院中の数ヶ月、数年の間にどんどん成長していきます。小さな子どもの成長を見守り、サポートできることは小児科で働く上で、大きなやりがいといえるでしょう。

小児科看護師として働くデメリット

次に、小児科看護師として働くデメリットを紹介していきます。

子どもの苦しむ姿を見るのが辛い

治療を受けて元気になる子どもがいる一方で、治療の効果が出ず状況が悪化していく子どもがいることも事実です。最悪の場合、治療の甲斐なく亡くなってしまったり、大きな障害が残ってしまう場合すらあります。子どもが好きな看護師だからこそ、病気が良くならず苦しむ姿を見て、自身も精神的に辛くなるという方は多いです。

子どもや親との接し方が難しい

患者が子どもだからこそ、コミュニケーションに苦労するときがあります。小さい子どもなら言うことを聞かなかったり、思春期の子どもなら気難しかったりするため、子どもと関わった経験が少ない看護師だとかなり苦労するかもしれません。子どもをよく観察して、それぞれにあった接し方を心がけましょう。

また、子どもを心配するあまり、看護師に強く当たるご家族の方もいます。そういう方は、インターネットや噂などの情報を鵜呑みにして、反論している場合が多いです。しかし、治療についての説明不足や情報の行き違いがご家族の不信感を募らせる場合もあるので、密なコミュニケーションを忘れないようにしましょう。

小児医療の難しさ

小児看護は成人患者の看護と違い、より細かい看護技術が求められます。子どもは血管が見えないため、注射や採血で針を指すのが難しかったり、投薬量も小さなミスで重大な事故につながる可能性があり、苦手意識を持つ看護師も多いといいます。

高い専門性ゆえ、キャリアに迷う

小児看護は専門性がかなり高いため、他の診療科で小児科の経験が活かしにくいというデメリットがあります。特に、小児科での経験しかない看護師だと「成人看護も経験したほうがいいのではないか」と不安に思うこともあるでしょう。小児看護の経験は、成人看護の現場では活かしきれない部分もありますが、保育園看護師やツアーナースといった仕事では役に立ちます。自分が「小児看護一筋でいくのか」「成人看護も経験したいのか」とキャリアの方法性を決めておくと良いです。小児科以外で子どもと関われる看護師の仕事は後の章で紹介します。

【採用率アップ】小児科で求められるスキルと資格

小児科で働く上で求められるスキル

小児看護師に必要とされるスキルは以下の通りです。

子ども・小児看護への高い関心

小児科で働く上で、子どもが好きなことと小児医療に関心を持っていることはとても重要になります。なぜなら、子どものために頑張ろうという気持ちが、仕事・勉強への高いモチベーションに繋がるからです。小児科への配属を希望するならば、強くアピールしておくと良いでしょう。

子どもの小さな変化も見落とさない観察力

子どもは大人と違って、症状に変化があっても自分の口から上手く伝えられない場合も多いです。常に子どもの状態に注意を払って、細かい変化も見逃さないだけの観察眼が必要とされます。

子どもと根気強く付き合う忍耐力

子どもの処置をするには、大人の何倍も時間がかかります。注射をしたくないと駄々をこねたり、処置が終わった後もなかなか帰してくれなかったりは日常茶飯事です。仕事が多く残っていたりすると内心イライラすることもあるでしょう。それでも笑顔を絶やさず、根気強く付き合えるだけの忍耐力も大事といえます。

子どもと良い関係を築くコミュニケーション能力

入院をする子どもにとって、看護師は第二の親とも言える存在です。看護師が良好な関係を築くことができれば、子どもの不安も和らぎます。その点で、子どもの特徴をよく理解し、それぞれにあった接し方をできることが非常に重要と言えます。

小児科で役に立つ看護師以外の資格

小児科で働く上で、看護師資格以外に必須の資格はありません。
しかし、持っておくことで小児科看護師としてキャリアアップが可能な資格、小児科に採用されやすくなる有用な資格はいくつかあります。今回は前者と後者に分けて、簡単に紹介していきます。

小児科看護師がキャリアアップするための資格

小児科看護師として、年収アップや昇進を目指すためにおすすめな資格は以下の3つです。

上記はいずれも、日本看護協会が設ける「専門看護師」「認定看護師」の資格になり、認定看護師の上位の資格が専門看護師になります。専門看護師は小児看護を含む13分野あり、認定看護師は、小児プライマリケア・新生児集中ケアを含む19分野あります。これらの資格については、「【全62個】看護師のプラスになる資格一覧|メジャーな資格から診療科別のおすすめまで解説!」の記事で取得条件から方法まで詳しく解説してるので、ぜひ見てみて下さい。

小児科で働く上で有用とされる資格

小児科で働いている看護師にも、小児科に転職を考えている看護師にとっても有用な資格を紹介します。
小児看護で役に立つのはもちろんのこと、転職の面接でも以下の資格を持っている・勉強しているというと採用担当からのイメージが良くなるので取得を検討してみて下さい。

小児科では、子どものケアの質を高めるための保育士の資格や、精神的なケアをするための福祉系・心理系の資格が役に立ちます。福祉・心理系の資格は子どもだけでなく、患者の家族をする上でも有用なので取っておいて損はないでしょう。

【小児科で働くなら】大型病院、専門病院、クリニック

看護師が小児科で働くならば、「総合病院」「専門病院」「クリニック」の3パターンが考えられます。それぞれの長所と短所を簡単にまとめたので、参考にしていただけると良いと思います。

総合、大学などの大型病院

長所:病院全体で見れば、求人数も多く入職しやすい。教育体制が整っている

短所:必ずしも小児科に配属になるとは限らない。

近年では、小児科がある大型病院は減少傾向にあるため、必ず小児科があるか確認しましょう。総合病院だと、規模によっては混合病棟である可能性もあります。

小児専門病院(こども病院)

長所:必ず小児医療に携われる。小児医療に特化しているため、より専門的な知識・技術をつけられる。

短所:とにかく数が少ないため、倍率が高い(JACHRIのデータでは、全国に38施設)。

小児専門病院は、一般病院での治療が困難で、専門的な医療が必要な子どもたちの治療や診断を行っている病院です。施設によっては、未熟児の診療を主に行うため、循環器科や形成外科などを強みとする施設が多いといわれます。

小児科クリニック

長所:数が多く、比較的求人が探しやすい。夜勤がなく働きやすい。

短所:幼稚園帰りに受診に来る患者が多く、残業が多くなりやすい。外来勤務なので小児医療の専門性を高めにくい。

小児科クリニックは、診療時間が決まっており、訪れる患者も症状が軽度の可能性が高いため非常に働きやすいです。ただ、インフルエンザなどの感染症や風邪が流行る時期にはとても忙しくなります。

【小児科以外】看護師が子どもに関われる仕事

小児科以外でも、子供好きの看護師が活躍できる仕事はあります。
今回は、「保育園・幼稚園」「ツアーナース」の2つを紹介します。
詳しい紹介は「病院以外で看護師が働く場所はどこなのか?待遇や年収まで詳しくまとめてみた!」の記事でしています。

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園に勤務する看護師の主な仕事は、園児の健康管理や衛生指導になります。それに加え、保護者の相談を受けること、保育士と共に保育業務をすることも業務に含まれます。病院勤務に比べ給与は低くなりますが、土日祝日休みのところが多いなど、プライベートは充実させることができます。

ツアーナース

ツアーナースの主な仕事は、修学旅行や研修旅行などに同行し、旅行中の健康管理や体調不良者の対応をすることです。中でも、学校の修学旅行の付き添いはかなり多いため、小児医療のスキルは重宝されます。単発のアルバイトで日給1万円ほどですが、自分の好きなタイミングで仕事ができるので副業やアルバイトとして人気があります。

【よくある質問】保護者とのトラブルが多いってホント?

子どもの保護者とのトラブルが心配で、小児科で働くのを避けている看護師は多いです。
実際に、「看護師が行きたくない科8選と配属された時の対処法!」でも小児科を取り上げています。

結論から述べると、トラブルに発展する場合は少ないですが、保護者がナーバスになっている状態は多く見かけることになります。雰囲気がピリピリしていて話しかけづらかったり、時には看護師への当たりが強いと感じることもあるでしょう。

ここで重要なことは、その保護者の行動に対し、どういう捉え方をするかです。具体的には、「イライラしていて嫌だな」と思うか、「子どもが入院していて心配になるのは当たり前だよね」と思うかになります。小児科で働き続けている看護師の話を聞くと、「ナーバスになるのは子どもを愛しているから、不安に寄り添えば信頼関係は築ける」と考えている方が多いようでした。

また、保護者との連絡不足や看護師の説明不足で不信感を抱かせてしまう場合もあるので、保護者が理解しているか確認しながらの説明を心がけましょう。自分が保護者の立場だったらどう感じるか、どう行動するかを考えて、対応していれば少し働きやすくなると思います。

ただ、時に度を超えたクレームや言動をする保護者もいるのは事実です。その場合は、自分を責めたりイライラしたりせず、冷静に対処しましょう。必要であれば、上司や医師に相談し、対応を代わってもらうことをおすすめします。

まとめ「小児科に向いている人の特徴はこれ」

ここまで、読んでいただきありがとうございました。
最後に、メディキャリねこが思う美容外科に向いている人の特徴を紹介します。

小児科は、看護師としてスキルアップしながら子どもに関わることができる仕事です。
同じ小児科でも、病棟勤務と外来勤務ではメリット・デメリットが大きく違うので、自分にあった働き方を選択してみると良いでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です