病院看護師として働くには、必ず直面するであろう夜勤の問題。
「2交替制と3交替制があるけど、スケジュールはどう違うのか?」
「結局、どっちが深夜手当が多くもらえるの?」
そう思う方も多いのではないでしょうか。
当記事では、スケジュールやメリット・デメリット、深夜手当額の観点から2つの夜勤形態を比較していきます。
目次
看護師の勤務形態
2交替制とは?
2交替制とは、一日の勤務時間を日勤と夜勤の2つに分ける勤務体制のことです。
ここで、夜勤看護師の勤務時間が長いのは、仮眠の時間を含むからです。
日勤 | 8:00~17:00 (8時間勤務) |
夜勤 | 16:30~9:00 (16時間勤務・休憩2~3時間) |
3交替制とは?
3交替制とは、一日の勤務時間を日勤、準夜勤、深夜勤の3つに分ける勤務体制のことです。
日勤 | 8:00~16:30 (8時間勤務) |
夜勤 | 16:00~24:30 (8時間勤務) |
深夜勤 | 24:00~8:30 (8時間勤務) |
【2交替制】夜勤看護師のスケジュール
1日のタイムスケジュール
時間 | 業務内容 |
---|---|
16:00〜 | 出勤、夜間の点滴や投薬の準備 |
16:30〜 | 日勤看護師からの申し送り |
17:00〜 | 巡回、患者の観察、バイタルチェック、点滴交換 |
18:00〜 | 夕食の配膳、食事介助、食後の投薬、口腔ケア |
19:00〜 | 巡回、患者の観察、バイタルチェック、点滴交換 |
20:30〜 | 就寝前投薬、就寝準備 |
21:00〜 | 消灯 |
22:00〜 | 病棟の巡回、記録、点滴交換、ナースコール対応 |
5:00〜 | 朝の点滴や採血の準備 |
6:00〜 | 起床、採血、バイタルチェック、投薬、点滴交換 |
7:30〜 | 朝食の配膳、食事介助、食後の投薬、口腔ケア |
8:00〜 | 日勤看護師への申し送り |
9:00 | 退勤 |
2交替制の看護師は勤務時間が16時間と、3交替制に比べて勤務時間が長くなっています。
一般的に夜勤一回につき3人の看護師が担当し、途中2,3時間の休憩を交代でとります。
具体的に、21:00〜22:00の間で食事休憩、22:00〜5:00の間に、交代で1〜2時間程度の仮眠をとります。
1ヶ月のスケジュール例
2交替制の一ヶ月間のシフトの特徴は以下のようなものがあります。
- 月夜勤日数は4〜5日が多い(日本看護協会のデータでは平均4.7回)
- 夜勤明けの休日を2日連続で取れる場合が多い
- 連続勤務は5日まで
2交替制の病院では、一般的に夜勤明けの日に加え、2日間休日を取れる事が多いです。
これは、夜勤後に身体をしっかり休ませるためで、勤務時間の長い2交替制ならではといえます。
一般的な一ヶ月でのスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 日勤 | 2 夜勤 | 3 明け | 4 休日 | 5 休日 | 6 日勤 | 7 日勤 |
8 夜勤 | 9 明け | 10 休日 | 11 休日 | 12 日勤 | 13 日勤 | 14 日勤 |
15 日勤 | 16 休日 | 17 夜勤 | 18 明け | 19 休日 | 20 日勤 | 21 日勤 |
22 夜勤 | 23 明け | 24 休日 | 25 休日 | 26 日勤 | 27 日勤 | 28 日勤 |
29 夜勤 | 30 明け | 31 休日 |
【3交替制】夜勤看護師のスケジュール
1日のタイムスケジュール
準夜勤(16:00〜24:30)
時間 | 業務内容 |
---|---|
15:30〜 | 出勤 |
16:00〜 | 日勤看護師からの申し送り |
16:30〜 | 巡回、患者の観察、バイタルチェック、点滴交換 |
18:00〜 | 夕食の配膳、食事介助、食後の投薬、口腔ケア |
19:00〜 | 巡回、患者の観察、バイタルチェック、点滴交換 |
20:00〜 | 休憩(交替で食事) |
21:00〜 | 消灯、病棟ラウンド、点滴交換、排泄介助、体位交換 |
22:00〜 | 資料整理、点滴準備 |
23:00〜 | 病棟の巡回、点滴交換 |
24:00〜 | 深夜勤看護師への申し送り |
24:30 | 退勤 |
深夜勤(24:00〜8:30)
時間 | 勤務内容 |
---|---|
23:30〜 | 出勤 |
24:00〜 | 深夜勤看護師からの引き継ぎ |
1:00〜 | 病棟ラウンド、点滴交換、排泄介助、体位交換 |
4:00〜 | 休憩 |
5:00〜 | 病棟の巡回、点滴準備、排泄介助、体位交換 |
6:00〜 | 起床、バイタルチェック、点滴交換、洗面介助 |
7:00〜 | 朝食の配膳、食事介助、食後の投薬、口腔ケア |
8:00〜 | 日勤看護師への申し送り |
8:30 | 退勤 |
3交替制は、2交替制に比べると勤務時間は短くなります。
3交替制の性質上、準夜勤の帰宅と深夜勤の出勤が夜遅く、電車での通勤が難しい場合があります。
都市部では、準夜勤の時間を短くして、調節している病院もあるようです。
準夜勤と深夜勤で、勤務時間は同じ8時間ですが、その日の日中に手術をした患者の経過観察等の業務があり、準夜勤の方が忙しいケースが多くなっています。
1ヶ月のスケジュール例
2交替制の一ヶ月間のシフトの特徴は以下のようなものがあります。
- 月夜勤日数は7〜8日が多い(日本看護協会のデータでは平均7.7回)
- 準夜勤の次の日は、一般的に休み
- 連続勤務は5日まで
3交替制は、2交替制に比べ勤務日数が多いため、夜勤の来る周期が短くなっています。
ICUやCCUといった病棟では、夜勤回数が9回を超えるところも多く見受けられます。
一般的な一ヶ月でのスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 日勤 | 2 深夜勤 | 3 準夜勤 | 4 休日 | 5 日勤 | 6 日勤 | 7 休日 |
8 日勤 | 9 日勤 | 10 日勤 | 11 準夜勤 | 12 休日 | 13 日勤 | 14 休日 |
15 日勤 | 16 深夜勤 | 17 休日 | 18 日勤 | 19 準夜勤 | 20 休日 | 21 日勤 |
22 日勤 | 23 休日 | 24 深夜勤 | 25 準夜勤 | 26 休日 | 27 日勤 | 28 日勤 |
29 深夜勤 | 30 休日 | 31 日勤 |
2交替制と3交替制それぞれのメリット・デメリット
2交替制と3交替制には、それぞれ違ったメリット・デメリットがあるので、
ライフスタイルや自身の優先したいことに合わせてぴったりの働き方ができる勤務形態を選びましう。
2交替制のメリット・デメリット
2交替制の3つのメリット
- 日勤と夜勤の2パターンのため、3交替制に比べて生活リズムが安定しやすい
- まとまった休みが取りやすく、プライベートが充実しやすい
- 夜勤後、次の勤務までゆっくり休むことができる
2交替制の3つのデメリット
- 勤務時間が長いため、精神的・肉体的に負担がかかる
- 病院の状況によっては、休憩・仮眠の時間が取れない
- 一人あたりの仕事量が多く、残業が発生する可能性が高い
以上の点から、2交替制に向いている方は、「長時間働くことが可能な人」「夜勤回数を減らし、しっかりと休みを取りたい人」だといえます。
2交替制は、連休が取りやすいという特徴があるので、旅行などが趣味でまとまった時間が欲しい方にはおすすめです。
3交替制のメリット・デメリット
3交替制の3つのメリット
- 一回の勤務時間が少なく、肉体的・精神的に楽
- 2交替制よりも休日が早く来る
- 深夜勤は残業が少ない
3交替制の3つのデメリット
- 勤務時間が3パターンあり、生活リズムが崩れやすい
- 休日が少ないため、連休が取りづらい
- 「日勤→夜勤」といったシフトだと、丸一日の休みが取れない
以上の点か、3交替制に向いている方は、「勤務時間をできるだけ短くしたい人」「長時間家を空けることが難しい人」になるでしょう。
具体的には、年齢・体力的に長い時間の夜勤が難しい方、小さい子どもがいるママさんナースなどが当てはまると思います。
2交替制と3交替制で深夜手当はどっちが高い?
勤務形態ごとの深夜手当の平均額は以下のとおりです。
- 2交代制夜勤 → 約11000円(日本看護協会のデータでは10999円)
- 3交替制準夜勤 → 約4100円(日本看護協会のデータでは4149円)
- 3交替制深夜勤 → 約5100円(日本看護協会のデータでは5066円)
参考:【日本看護協会 2017年病院看護実態調査】
3交替制の準夜勤と深夜勤を足したものを2交替制夜勤に相当するとした場合、
2交替制(11000円)、3交替制(9200円)となるため、二交代制のほうが深夜手当は高いといえそうです。
では次に、一ヶ月あたりの深夜手当合計額を考えてみましょう。
2交替制の夜勤回数を5回(平均は4.7回)としたときの、
一ヶ月あたりの深夜手当額は、110000円✕5回で55000円となります。
一方、3交替制の夜勤回数を8回(平均7.7回)とし、準夜勤4回と深夜勤4回と仮定した場合には、
一ヶ月の深夜手当額は、(4100円+5100円)✕4回で36800円となります。
病院や地域によっても深夜手当額は変わってくるため、一概に例外はあるかもしれませんが、一般的には2交替制の方が深夜手当は高くなり、給与の面では2交替制が勝ると考えられます。
音楽専門学校を卒業後、外資系メーカーの日本法人にて営業に従事。その後、関西支社の立ち上げや営業部長を経て、30歳から人材紹介を行う。医療・IT業界を中心に、これまでに紹介件数400件以上、面談件数2,000人以上の実績を積む。特に医療分野では、日本全国の医療施設を周り、各地の地域性を学びIターンやUターン転職支援も行う。一人一人のキャリアプランも見据えたコンサルをモットーに、「提案する」キャリア支援を心がけている。