「月に何回もある夜勤がきつい…」「自分の病院の夜勤時間は多いんじゃないか?」と考えているそこのあなた!
看護師の夜勤労働時間には、法律で定められた上限があるのはご存知でしょうか?
当記事では、看護師の夜勤回数・時間のデータに加え、労働法で定められた72時間ルールについて紹介します。
目次
1ヶ月間の看護師の平均夜勤回数は4.7回(2交替制)
二交替制とは、一日の勤務を日勤と夜勤の2つに分ける勤務体制。
日勤看護師が8:30〜17:30の勤務、夜勤看護師が17:00〜翌9:00の勤務であることが多いです。
夜勤回数(2交替制) | 割合 |
---|---|
3回未満 | 0.9% |
3-4回未満 | 15.2% |
4回 | 14.6% |
4回超-5回未満 | 28.9% |
5-6回未満 | 17.8% |
6-7回未満 | 6.6% |
7-8回未満 | 2.8% |
8-9回未満 | 2.1% |
9-10回未満 | 1.0% |
10-13回未満 | 0.4% |
無回答・不明 | 9.6% |
夜勤拘束時間(2交替制) | 割合 |
---|---|
12時間59分以下 | 2.7% |
13時間00分-13時間59分 | 2.4% |
14時間00分-14時間59分 | 4.5% |
15時間00分-15時間59分 | 9.1% |
16時間00分-16時間59分 | 62.3% |
17時間00分-17時間59分 | 13.2% |
18時間00分-18時間59分 | 0.7% |
19時間00分-19時間59分 | 0.0% |
20時間以上 | – |
無回答・不明 | 5.0% |
2020年の日本看護協会のデータによると、2交替制の病院で夜勤をしている看護師の月平均夜勤回数は4.7回、夜勤一回の平均拘束時間は16.0時間でした。
日本看護協会の「夜勤や交替制勤務のガイドライン(2013)」では、長時間の勤務は看護師の健康を害するとして
「勤務の拘束時間は13時間以内とする」という基準が示されています。
データを見ると分かるように、夜勤の拘束時間が13時間以内の病院の割合は2.7%となっており、
多くの看護師が健康被害の起きる可能性がある労働環境で働いていることが分かります。
1ヶ月間の看護師の平均夜勤回数は7.7回(3交替制)
三交替制とは、一日の勤務を日勤、準夜勤、深夜勤の3つに分ける勤務体制。
勤務時間は、日勤が朝〜夕方、夜勤は夕方〜深夜と深夜〜朝に分けられます。
夜勤回数 | 割合 |
---|---|
4回未満 | 2.5% |
4-5回未満 | 2.9% |
5-6回未満 | 2.4% |
6-7回未満 | 10.3% |
7-8回未満 | 27.2% |
8回 | 11.4% |
8回超-9回未満 | 14.3% |
9-10回未満 | 9.9% |
10-11回未満 | 4.1% |
11-13回未満 | 1.6% |
無回答・不明 | 13.5% |
夜勤拘束時間(3交替制) | 割合 |
---|---|
6時間59分以下 | 0.1% |
7時間00分-7時間59分 | 2.5% |
8時間00分-8時間59分 | 69.3% |
9時間00分-9時間59分 | 12.0% |
10時間00分-10時間59分 | 0.4% |
11時間00分-11時間59分 | 1.1% |
12時間00分-12時間59分 | 1.3% |
13時間以上 | 0.2% |
無回答・不明 | 13.1% |
2020年の日本看護協会のデータによると、3交替制の病院で夜勤をしている看護師の月平均夜勤回数は7.7回、夜勤一回の平均拘束時間は8.7時間(2019年のデータから引用)でした。
日看協のガイドラインでは、「夜勤回数は、3交替制勤務は月8回以内を基本とする」とされていますが、8回を超える夜勤が行われている病院が3割近くあります。
実は労働基準法では、夜勤の上限が設定されている
労働基準法で定められている「72時間ルール」とは?
72時間ルールとは、「夜勤をする看護師の拘束時間の合計」を「夜勤する看護師の人数」で割ったものが72時間以内にならなければいけないという制度です。
より分かりやすくいうと、看護師の一ヶ月の平均夜勤時間が72時間を超えてはならないというものになります。
このルールは2006年度の診療報酬改定で設けられ、平均夜勤時間が月72時間を超えた場合は、病院に支払われる入院基本料が減らされるという罰則が課せられます。
2交替制だと、一ヶ月に4.5回まで!
72時間ルールのもとで、夜勤をする看護師が全員同じだけ働く場合には、一ヶ月の夜勤回数は4.5回となります。
72時間(一ヶ月の合計夜勤時間)÷16時間(夜勤一日の平均拘束時間)によって算出。
3交替制だと、8.3回まで!
2交替制と同様に、夜勤をする看護師が全員同じだけ働く場合には、3交替制における一ヶ月の夜勤回数は8.3回となります。
72時間(一ヶ月の合計夜勤時間)÷8.7時間(夜勤一日の平均拘束時間)によって算出。
果たして、72時間ルールは本当に守られているのか?
結論から述べると、72時間ルールは個人の労働時間を定めたものでないため、どれだけの病院が72時間ルールを守っているかはわからないです。
極端な例ですが、一ヶ月の夜勤時間が100時間の人と44時間の人がいたとしても平均は72時間となり、ルールは守られていることになります。
しかし、日本看護協会のデータのにおいて2交替制の平均夜勤時間(16時間)と平均夜勤回数(6.7回)を掛けると75.2時間になり、72時間を超えています。
つまり、2交替制病院という大きな枠組みでみれば、72時間ルールは守られていないことになるのです。
実際、看護師の方に話を聞くと、72時間ルールを守っていない病院も多くあるようでした。
その現状故か、日看協は「1カ月の夜勤時間は72時間以内とするべきだ。夜勤を行う看護職員すべてが対象となるような法規制が必要だ」と主張していますが、未だ実現には至っていません。
看護師として働く上で夜勤が多い・辛いと感じている方は、一度自分の勤める病院が72時間ルールを守っているのかを調べて見ると良いと思います。
まとめ「2交替制は3交替制に比べ、夜勤時間が多い」
当記事では、看護師の夜勤回数・時間のデータを紹介した上で、看護師の夜勤時間を定めている72時間ルールについて解説しました。
データからも分かるように、2交替制よりも3交替制のほうが夜勤時間は短い傾向にあるため、
もし仮に、2交替制の病院で夜勤に苦しんでいるなら、3交替制の病院に転職して負担が緩和されることがあります。
また、夜勤自体がない仕事や職場に転職することもオススメです。
病院以外で看護師が働ける場所などは、夜勤がない仕事のほうが多いくらいなので、ぜひ一度調べてみて下さい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
音楽専門学校を卒業後、外資系メーカーの日本法人にて営業に従事。その後、関西支社の立ち上げや営業部長を経て、30歳から人材紹介を行う。医療・IT業界を中心に、これまでに紹介件数400件以上、面談件数2,000人以上の実績を積む。特に医療分野では、日本全国の医療施設を周り、各地の地域性を学びIターンやUターン転職支援も行う。一人一人のキャリアプランも見据えたコンサルをモットーに、「提案する」キャリア支援を心がけている。