看護師は一般的に転職の多い仕事というイメージを持たれます。

では、いったい何回まで転職をしても不利にならないのでしょうか?

当記事では、採用担当者が多いと感じる転職の回数、転職回数が多い看護師が気をつけるべきポイントを解説しています。
転職回数の年代別データもあるため、これからのキャリアを考える上の参考にしてみて下さい。

転職回数の多い看護師が不利になる理由

看護師の転職の多さが不利に働く理由は、採用担当者が以下のことに不安を感じるからになります。

採用担当者が最も重要だと考えていることは「長く勤めてくれるか」ということです。

医労連の「2017年看護職員の労働実態調査」では、
勤続年数のは平均10.7年ですが、20%の人が5〜10年と答えており最も割合が高くなっています。
次点で1~3年未満の15.9%となり、5年未満で退職している人は全体の37.9%となっています。

より待遇の良い職場、キャリアアップのために多くの看護師が転職をしますが、
転職回数が増えるほど採用担当者にマイナスなイメージを持たれ、転職が難しくなっていきます。

しかし、逆を言うと採用担当者の不安を取り除くことができれば、転職回数が多くても転職は可能ということです。
当記事では、20代・30代・40代に分けて、転職回数は何回で多いとされるのか、転職の際に気をつけるべき点を解説していきます。

20代看護師は2回以上で多いとされている

20代看護師の転職回数の分布は以下のとおりです。

0回1回2回3回以上
20-24歳81%15%0%4%
25-29歳55%29%12%4%
20代全体68%22%6%4%
【出典】:看護のお仕事「看護師は転職回数が多いってホント?

20代の看護師は、約7割が転職未経験だということが分かりました。
驚くべきことに、20代前半では8割以上が新卒で入った病院に勤め続けています。
一方で、20代後半では転職を経験している人が半数近くに増加しており、
20代前半で研修などの教育をしっかり受け、後半で転職するといった看護師の方が多いようです。

20代全体で2回以上転職している割合が10%と少なく、転職回数が2回でも多いとされる可能性が高いです。

20代看護師が転職で失敗しやすいポイントと対策

20代看護師の転職理由として以下のようなものがあります。

どれも、働いていた病院へネガティブなイメージを抱かせるものになっています。

こういった理由で転職される方が気をつけるべき点は、「希望する転職先の情報収集をする」「面接でネガティブイメージを与えない」ということです。

まず前提として、20代の看護師は2回以上転職をしていると、転職が多いというマイナスイメージを持たれてしまいます。
転職の際に情報収集を怠ってしまうと、また同じような理由で働くのがきつくなる場合があります。
そうなると転職した意味がないですし、短期間で何回も転職を繰り返すことはその後のキャリアにも不利に働きますので、転職先の情報は調べておきましょう。
具体的には、転職サイトのキャリアアドバイザーに話を聞く、実際に職場見学に行くことなどが挙げられます。

また、面接では前向きな転職理由を話すように心がけて下さい。
たとえ以前の職場に不満を感じて転職を決めたとしても、その事実は言い換えて話したほうが良いです。
面接担当者に「すぐ辞めてしまうのではないか…」といったネガティブな印象をあたえないために、キャリアップやスキルアップといった前向きな転職を理由を話せると採用率もぐんと上がるでしょう。

どうしてもネガティブな理由も伝えておきたいという場合には、具体的な数字を添えて話すようにしましょう。
具体的には、「毎日◯時間以上の残業があった」「月に◯日しか休日が取れなかった」といった感じです。
面接担当者も理解できる客観的な値を加えることで、マイナスイメージを持たれにくくなります。

30代看護師は5回以上で多いと判断される

0回1回2回3回以上
30〜39歳29%21%13%36%
【出典】:看護のお仕事「看護師は転職回数が多いってホント?

30代の看護師は、転職回数が少ない人と多い人で二極化する傾向があります。
今回使用したデータでは、3回以上の転職を経験している人が約3割という結果でした。

30代看護師で転職回数が多いとされるのは5回からになります。
ただし、30代はライフステージの変化が大きい年代のため、結婚・出産などのイベントはマイナスにはなりません。

30代看護師が転職で失敗しやすいポイントと対策

30代の看護師が転職する理由として以下のようなものがあります。

30代看護師が転職する際に意識してほしいことは、「勤務条件を明確にする」「ライフステージの段階を伝える」「30代看護師に求められるものを理解する」の3点です。

30代の看護師は、キャリアップして管理職につきたいという方と
QOLをあげるため余裕を持って働きたいという方に分かれる傾向があります。

管理職に就きたいならば、キャリアアップをサポートできる体制はあるのか、
QOL重視であるならば、残業や夜勤は少ないのか、を判断材料として持っておきしましょう。
看護師がどういったキャリアを描いているかは採用担当者も気になるところなので、
面接で相互の認識を共有しておくと、入職後のミスマッチを防げる可能性が高いです。

また、採用担当者は応募者のライフステージの段階がどこであるかも非常に気にしています。
一般的に、結婚・出産を終えており、ライフイベントの予定がない人ほど、早期退職のリスクが小さいとしてプラスの評価になります。
ただ、ライフイベントを迎える可能性がある方でも、働き続けられる意志や環境があることを伝えることができれば、採用の可能性は高くなります。

最後に、これがいちばん重要なことですが、20代と30代では看護師として求められる役割が違います。
30代看護師は、一人前の看護師として業務が行えることはもちろんのこと、新人教育などの仕事も重要とされます。
特にキャリアアップを考えている人であれば、なおさら後輩指導やリーダー経験は必須とも言えます。
面接では新人や後輩教育の経験、それらに積極的な姿勢を見せていきましょう。

40代看護師は数回の転職ならば、そこまで気にしなくていい

0回1回2回3回以上
40〜49歳8%12%17%62%
【出典】:看護のお仕事「看護師は転職回数が多いってホント?

40代の看護師は、3回以上の転職をしている方が6割以上いらっしゃいます。


40代であれば、数回の転職は当たり前になってくるため、さほど懸念点になることはないでしょう。
40代看護師は、転職回数よりも人柄や技術が重要視されるのも事実です。


ただし、勤続年数が極端に短い場合や転職回数が8回以上になるとマイナスになることがあります。

40代看護師が転職で失敗しやすいポイントと対策

40代看護師は、経験もスキルも豊富であり、結婚・出産といったライフイベントが終わっている場合が多いため、比較的転職は容易であると言えます。
転職理由などを含め、30代と共通の部分があるので前述した30代の転職のポイントも参考にしてみて下さい。

ただ、以下のような場合には、転職が難しいことがあります。

まず、スキルも経験も豊富な40代の看護師は、自分の考えが正しいと思ってしまっている場合があります。
もちろん、ベテランの技術や知見はどこの病院でも欲するところですが、我が強すぎると職場内の人間関係を悪化させてしまう場合があります。
採用担当者も危惧するところではあるので、面接では周りの意見を受け入れる柔軟性・協調性をアピールするようにしましょう。

次に、同じ理由で仕事に対するやる気が感じられないという場合も見られます。
残業・夜勤を減らしたいなど仕事量を減らすための転職であっても、看護師の仕事に対する意欲や学習意欲は高く持ち、採用担当者にも伝えることが重要です。

最後に、未経験の診療科を希望している場合が挙げられます。
40代看護師の最大の魅力が豊富な経験になるため、その強みを活かせない未経験分野への転職は難しいことが多いです。
特に、見た目が重要視される美容外科や迅速な対応が求められる救急科などは若い人の方が優先して採用される傾向があります。
未経験領域への転職を希望していても、幅広く選択肢を持っておくと転職がうまくいきやすいでしょう。

まとめ「転職回数よりも大事なこと」

この記事では、「転職は何回すると不利に働くのか」「転職回数が多い看護師が気をつけるべきポイントはなにか」について解説していきました。

もちろん転職回数は重要な指標ですが、それ以上に転職理由や仕事に対する心構えといったものが重要です。

採用担当者は、あなたの持つ人としての性質を見ており、転職回数はそれを判断するための材料にすぎません。
転職回数が多い看護師の方でも転職を成功させ、理想のキャリアを実現している方は多くいらっしゃいます。

当記事が、看護師の皆さんが一歩踏み出す後押しができていれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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