美容外科で働きたいけれど、これらの理由で転職に踏み切れない看護師の方は多いのではないでしょうか。

転職を考える上で、デメリットを知らずに転職活動を始めるのは危険ですし、周りの意見を鵜呑みにして可能性を捨ててしまうことは非常にもったいないです。

当記事では、美容外科のメリット・デメリットはもちろんのこと、転職できる年齢には制限があるのかについて分かりやすく説明をしていきます。

美容外科看護師の業務内容と一日のスケジュール

美容外科で働く看護師は、整形手術の介助や美顔器などの機械の操作を行うため、他の診療科の看護師とは業務内容が大きく異なります。また、患者さんとのコミュニケーションが重要で、接客業の側面もあります。ここでは、美容外科看護師の主要な業務と一日のスケジュールを紹介していきます。

美容外科看護師の業務内容

美容外科看護師の主な業務内容は以下のとおりです。

まず、美容外科で働く看護師は開院前と閉院後に清掃業務があります。それに加え、患者が訪れた時の受付も行う場合があります。ただ、カウンセラーが担当することもあるので職場によりけりといったところです。

手術前のカウンセリングは、美容外科で働く上で最も重要な業務といえます。美容外科を訪れる患者は、自身の容姿に悩みを抱え、手術をすることにも不安を感じているため、患者に寄り添い精神面のサポートをする必要があります。その上で、患者の理想の姿を聞き出し、適切な処置を提案していきます。

手術介助では、手術前の器具・薬剤の用意と手術中の器械出しを行います。そのため、オペナースの経験がある看護師は採用されやすい傾向にあります。

手術後の経過観察は、採血や点滴などの一般的な看護業務を行います。ただ一般的な病院とは違い、接遇面が重視されるので、言葉遣いや態度には注意が必要です。

最後に、ドクターズコスメの販売です。これは他の看護の現場では見られない業務で、多くの場合は商材の販売数でインセンティブが支払われます。場所によっては、営業ノルマを設定していますが、それは後ほど詳しく解説していきます。

美容外科看護師の一日(例)

時間業務内容
9:30−出勤、カルテ確認
10:00−開院、患者受付、カウンセリング
12:00−昼食(−15:00まで交代で休憩)
13:00−手術介助
15:00−術後のケア
16:00−脱毛・注射などの施術
19:00−閉院、カルテ記入、清掃などの片付け
19:15退勤

美容外科で働くメリット3選

看護師が美容外科で働くメリットは大きく3つあります。

インセンティブで高い給与を実現できる

美容外科の最大のメリットとも言えるのが、インセンティブによる高い給与であり、平均年収は500万を超えています。インセンティブとは、主に患者の獲得やドクターズコスメの販売数に応じて、基本給に加えて支払われる報酬になります。つまり、営業のスキルがある看護師であれば、かなり高額な給与を得ることができるわけです。実際に、個人クリニック勤務で年収1000万円の看護師もいます。こんなことを言うと、「接客スキルないから無理だ…」と思われる方がいるかもしれません。しかし美容外科は基本給が高く、患者の中にも快く商材を買ってくれる方が多いので、年収を高めたい方は転職を考えてみて下さい。

夜勤なし、残業も少なくQOLが上がる

美容外科は夜勤がないため、生活習慣の改善が期待できます。また、残業もほとんどなく、自身のプライベートを充実させられます。美容外科は土日も営業していることが多いので、友人や家族と休みを合わせるのは難しいかもしれませんが、平日の人が少ない時間帯に買い物やお出かけすることが可能です。「夜勤がなくなると、収入が少なくなるのでは?」と心配になる方も多いと思います。しかし、美容外科は他の病院に比べて基本給が高くなっているため、年収が低くなることは少ないです。

美容手術を格安で受けられる

美容外科の看護師は、職場で行っている施術を格安で受けることができます。美容に関心がある看護師にとっては、大きなメリットになるでしょう。場所によりますが、ドクターズコスメも安く購入できる場合もあります。

美容外科で働くデメリット3選

美容外科で働く上でのデメリットは以下の3つです。

営業ノルマを設けている場合もある

美容外科のノルマに関しては、3つのパターンがあります。

この中で割合として多いのが、店舗の営業目標としてノルマが設定されている美容外科です。この場合には、店舗全体の営業目標を達成したとき、従業員に一律で報酬金が支払われます。それに加え、売上の良かった従業員にインセンティブを与えることが多いです。

割合は多くないですが、個人にのみ営業ノルマが課せられている場合があります。一般的に1000万円を超えるような求人には個人目標が設定されている事が多く、営業ノルマの達成度合いで給与が変わります。

同じく割合が少ないのが、店舗(看護師全体)の売上目標も個人ノルマもない場合です。看護師がカウンセリングを行わない美容外科などは売上目標がないことがあります。しかし、この場合は店舗の売上目標は設定されているが、看護師に伝えられていないことが多いといわれています。報酬金なく高い年収は望めませんが、店舗の業績が良いと報酬金が支給されることもあるようです。

営業ノルマを課せられたくない方は、個人ノルマがない美容外科を選ぶと良いでしょう。

患者とのコミュニケーションが難しい

美容外科は接客業と言われるほど、患者に対し細かな気遣いや、高い接客スキルが必要になります。美容外科は他の診療科と違い、自由診療であるため患者は高い料金を払って、施術を受けに来ています。その分、期待値も高く満足度の高いサービスを提供できないと思わぬトラブルを招く可能性すらあります。接客やコミュニケーションのスキルに自信がない方は、働くのが辛いと感じるかもしれません。

一般的な看護技術は身につかない、生かせない

病棟勤務の看護師としてキャリアアップしたいという看護師には、美容外科はおすすめできません。理由は、「美容外科では高度な看護技術を必要としない」「美容外科での勤務は臨床年数に加算されない」の2点になります。

美容外科の業務で使う看護技術は、採血や注射などの基礎的なもので看護師としてのスキルアップは見込めません。長く働いていると看護技術の低下にすら繋がりかねないです。

また、病棟看護師の求人には「美容外科の勤務は、臨床経験に含まない」と採用基準を設けているところもあります。いつか病棟勤務に戻りたいと考えている方は、美容外科への転職は避けたほうがよいでしょう。しかし、命に関わる患者はいないので、危険度の高い診療科にいて疲れてしまった人にとっては働きやすい職場といえます。

美容外科未経験でも採用されやすい看護師の特徴

美容外科への転職を望む人は多いですが、美容外科の求人は看護師求人全体のたった0.5%とも言われています。
そんな狭き門を通過するために、本章では美容外科に採用されやすい看護師の特徴を紹介します。

美容外科に採用されやすい看護師の特徴は以下のとおりです。

基本的な看護業務を自立して行える

美容外科で働く場合、高度な看護技術は必要ないですが、注射や採血などの基本的な看護業務を行えるだけのスキルは身につけておく必要があります。場所によりますが、「最低2年以上の臨床経験」を求めるところもあるため、選択肢を広げたい方は、3年程度の臨床経験を持っておくと良いでしょう。

手術室での勤務経験がある

必須ではないですが、美容外科看護師の重要な仕事に手術介助があるため、経験があると転職が有利に進められます。美容手術は、一般病院で行われる手術とは異なる部分も多いです。どちらかと言うと、患者の急変などの緊急事態に迅速に対応できるかどうかが重要になります。

美容への関心が高い

美容外科で働く看護師は、患者のカウンセリングを行うため、美容分野の知識は必要です。美容外科の看護師は、美容に関心がある人が多いためか、自分の見た目に気を遣っており、見た目が若々しく清潔感がある人が多いです。同じような理由で、年齢が高い人よりは、年齢の低い人のほうが採用されやすい傾向にあります。

コミュニケーション能力が高い

美容外科に勤務する上で、最重要ともいえる能力がコミュニケーションスキルです。一般の病院とは違い、患者には「お客様」として接する必要があります。病棟から転職した看護師には、求められるサービスのレベルの高さに困惑したという方も多いです。患者に対して、細かい配慮も欠かさない気配りの力を持っていれば現場では重宝されるでしょう。

美容外科への転職が有利になる資格

前提として、美容外科への転職には、資格よりも看護技術や接客能力の方が重要です。
しかし、美容外科での業務に役立つ資格を持っている場合はもちろん、資格のための勉強を行っていると面接で伝えるだけでも、採用担当者に良い印象を与えられます。

美容外科の現場で有用な資格には以下のようなものがあります。

美容外科を含む看護師におすすめの資格はこちらの記事で紹介しています。
【全62個】看護師のプラスになる資格一覧|メジャーな資格から診療科別のおすすめまで解説!

認定エステティシャン

認定エステティシャンには2種類あり、日本エステティック協会の「AJESTHE認定エステティシャン」と日本エステティック業協会の「AEA認定エステティシャン」があります。どちらも受験資格と取得方法が同じなので、まとめて紹介させていただきます。

認定エステティシャンの資格取得のための講座は、ボディケアの手技だけでなく、接客の仕方やベッドメイキングなど美容クリニックで働く上で役に立つものばかり。看護師が取得するには認定校に入る必要があり、金銭面ではかなりのコストがかかります。しかし、より良いサービスを提供することが需要とされる美容外科では、かなり強い武器になるので取っておいて損はないです。

受験資格認定校で、300時間以上か1,000時間以上のコースを修了する
もしくは、
エステティシャンとして1年以上の実務経験がある
取得方法認定試験(筆記試験・実技試験

合格後、登録し資格を取得する

5年ごとに更新AEA認定エステティシャンの場合

日本アロマセラピー学会認定看護師

日本アロマセラピー学会認定看護師は、日本アロマセラピー学会が主催しており、JSA基礎認定とJSAトリートメントMAS認定に分かれています。今回は、初級のJSA基礎認定についてのみ解説します。

JSA基礎認定を取得する過程で、アロマセラピーについて高い知識と技術を習得することができ、より質の高いケアを患者に提供できるようになります。全講義を網羅するには6万円必要となりますが、アロマセラピーだけでなく解剖学・薬理学といった幅広い知識を得ることができます。

受験資格日本アロマセラピー学会の正会員で、看護師免許を持っていること

「基礎セミナー」の全てのコマを受講し終わっていること
取得方法筆記試験(受験料:10000円)

合格後、15000円の認定料を支払う

取得手続きをし、認定証を受け取る

5年ごとに更新学会が定めた項目で100点取る必要がある

英語や中国語などの語学系の資格

詳しくは解説しませんが、TOEICなどの語学系の資格も持っていくとプラスになります。
近年では、日本の美容外科は高い技術や接客の質によって、海外からも高い評価を得ています。そのため、外国人の利用者もかなり増えており、語学スキルの需要は高いです。英語の資格としては、TOEICが有名ですが、実務で使えるレベルは650点以上と言われるため、勉強の目標にするといいでしょう。また、中国からの利用者も多いので、中国語もおすすめの言語です。

【よくある質問】美容外科は何歳まで採用されやすいの?

よくある質問に、「美容外科って若いほうが有利なのか」「40代だと、採用されないのか」といったものがあります。結論からいうと、美容外科で重視されるのは「見た目の若さ」です。決して年齢が高いからといって採用されないわけではありません。

実際に、美容外科で働いている年齢層は20代−50代と幅広いです。美容外科には、50代以上の加齢による悩みを抱えた患者も多く訪れます。近い世代の看護師のほうが、悩みを共有し合えたり、安心感を与えることができるといった強みもあります。40代以上でも、美容に高い関心を持ち、身だしなみに気をつけていれば年齢がマイナスに働くことは少ないと言えます。

ただ、大手の美容外科だと「30代以下」といった条件を設けている場合もあるので、単純な求人数でいうと少なくなってしまうかもしれません。そういった場合は、個人の美容クリニックなどを視野に入れてみると良いでしょう。

まとめ「美容外科に向いてる人はこんな人」

ここまで、読んでいただきありがとうございました。
最後に、メディキャリねこが思う美容外科に向いている人の特徴を紹介します。

美容外科は、夜勤なしにも関わらず、高い年収を実現できるとても魅力的な仕事です。
デメリットもありますが、コミュニケーションが得意で美容に関心のある方には、天職ともいえる働き方ではないでしょうか。

この記事で興味を持っていただけた方は、より詳しく調べてみて下さい。

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